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三五八漬けの魅力

 ここんとこ、三五八漬けに凝っている。
 近所のラーメン屋で定食を頼むと、白ごはんに漬け物が付いて出てくるのだが、これがとてもうまい。これって何漬けなのかな、なーんか食べたことあるような味なんだけどな、と考えて急に思い出したのが三五八漬けだ。(単に急速に閃いただけで、店で出してるのが本当にそれなのかどうかは知らない。)
 あれは確か作るのがとても楽だったはずだしわたしにもできるだろう、試してみよう、と思い立ちまして。一月ほど前から毎日漬けて毎日食ってる。

 三五八ってのは、塩を3:麹を5:米を8、の割合で混ぜたもの。最近「塩麹」って調味料が流行ってますね、塩麹はもう少し違う配合で作るらしいんだが、要はあれと同じです。塩麹はとろっと瓶詰めがスーパーに並んでいるのを見たことがあるので、きっとあれはもう完成品なんだろうな。
 三五八は「三五八の素」っつってざらざら袋詰めで売られている。そこに水を加えて、自分で漬け床を仕込むわけだ。で、およそ漬け物に適しているであろう野菜ならなんでもいい、ぶち込んで寒いこの季節なら一晩か一昼夜か放置して、しかるのちにおもむろに取り上げて切って盛り付けて食す。
 味はなんつーかぬか漬けに似た感じで、麹漬けなのでほんのり甘い。東北の漬け物っつってイメージするほどしょっぱくないので、サラダ代わりぐらいの感じでばくばく食べられる。
 そう、これは東北の漬け物なんですよ。Wikipediaによると、我が出身であるところの福島県(と山形・秋田)、あの辺り独特の漬け物らしい。子供の頃は普通に食卓に並ぶ一品だったのでまーったく意識していなかったが、実はこれも立派な郷土料理なんですね。福島人は今後は「何が有名?」って訊かれたときに「うーん…いかにんじんとか…」って困らなくていいと思うよ。

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 これが三五八床。赤いぽちぽちは鷹の爪です。三五八の素に最初から入ってる。
 幼い頃のイメージでは、ぬか床ぐらいのもう少し固い物だった気がするが、試しに白菜を漬けたりしていたらずいぶん水分が出てクリーミーになってしまった。写真では分かりにくいだろうが、ポタージュスープぐらいのゆるさ。
 こんなふうに柔らかくなってきたら追加三五八を入れてやる。味が薄くなってきたら塩を追加してやる。とっても適当でそしてとっても簡単です。ぬか床は毎日かき混ぜたりわりと手間がかかるものらしいが、三五八はそういうのも別に無い。(本当はやったほうがいいんだろうか?)

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 今回は大根を漬けてみました。これは撮影のために床に乗せてあるだけで、もちろんこのあとしっかり埋めます。さらにその上に、吸水のためのスポンジやペーパータオルを置いて、蓋をしておしまい。
 これまでのベストヒットはかぶ、次点がきゅうり。逆に白菜はダメだった、中まできちんと漬かる頃には外側はしょっぱくなり過ぎてしまうし、何より水分がすごい。初めての頃に漬けたなすは、いまいち勝手が分からなくてよく漬からないうちに取り上げてしまったので、今度またリベンジする。

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 半日ほど経過したところで取り出しました。少し縮んでいるというか、生の野菜じゃなくて漬け物っぽいフォルムになっているのがお分かりでしょうか?
 出すと当然三五八がべとべとになって付いているので、それは洗い流す。そうやって減った分はまた追加してやる。麹なので発酵し過ぎるとアルコール臭で使いにくくなるが、そうでない限り継ぎ足してエンドレスに使える。

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 本日も大変おいしくできました。まあこんなふうに手軽ですげーうめーので、何か漬け物を始めてみたいと思っている人は挑戦してみるといいよ。